研修医体験記(1)
2015年4月28日5:35 PM 研修医体験記 研修医体験記後期研修1年間を振り返って
僕が昭和大学精神医学講座に入局を決めたのは、研修医の2年目の秋頃でした。「脳に関わる科に進んで臨床と研究をバランスよくやっていきたい」と考えて、最後は神経内科と悩んだ結果精神科に決めました。精神科医としての生活は、昭和大学附属烏山病院のストレスケア病棟(烏山病院の中で唯一の開放病棟)でスタートしました。分からないことだらけだったのですが、開放病棟ということもあり、状態が比較的安定している患者さんが多く、ゆっくり勉強しながら診療にあたれたように思います。オーベンは7年目の優しい女医さんで、一つ一つ丁寧に教えてくれました。時間には余裕があって、仕事は定時で終わることが多かったのでアフター5も充実していました。
外勤先は1週間で関東近辺の古き良き精神科病院に1泊当直と、都内のクリニック1コマといった形が標準的なモデルです。外勤先は1人当直と聞き最初は心細かった(大学は指定医と非指定医の2人当直)ですが、僕の当直先では幸い院長が病院の隣に住んでおり何かあったら連絡してよいとのことでした(結果1年間連絡することはなかったのですが)。また、日勤では准教授が同じ外勤先であり、毎週ランチタイムに相談に乗っていただき困ることは殆どありませんでした。クリニックでは初診を診ることもあると聞き最初は不安もありましが、指導体制が整っており大きな問題なくやっていくことができました。
10月の人事で異動が発表されましたが、僕は病棟、外勤先ともに異動はなく同じ場所で1年間働くこととなりました。仕事にも少しずつ余裕が出てきて、後半は発達障害の検査入院にも積極的に関わっていくことができました。ストレスケア病棟では、週に1件程度発達障害の検査入院(通称:アスペパック)をとっています。これは2週間の検査入院で、発達障害か否かの診断をつけ、今後の大まかな方針についても相談できるという画期的な入院パックです(欠点は検査入院のため自費になってしまうところでしょうか)。これはストレスケア病棟で是非とも経験しておきたい内容で、当院の特色である発達障害について最も深くかかわることができるチャンスです。発達障害の診断基準について勉強し、ベテランの心理士さんや院長と共に話し合いを重ねました。。しかしやはり発達障害は難しいですね。半年ほど経ったころ、アスペパックの患者さんの話を聞いていて「これは発達障害とは全然違うな、人格障害圏の問題か・・」となど思っているときに院長が「これは典型的なアスペですな~」と言ったときは眩暈がしました。1年で多くの症例を経験し、大外しはしないようになりました(と信じたい)が、未だに発達障害の診断をつけるのに躊躇するケースは多いです。
昭和大学での研修は、精神科1年目として様々な経験ができ、大学病院で先輩方にアドバイスを頂けたこともあり非常に有意義であったと思います。准教授の先生から「指定医になると皆あまり教えなくなるし、本人も聞かなくなる。それまでに分からないことはいろいろな先生に聞くようにしなさい」と言われましたが、それを踏まえた上でも大学中心での研修は教育上理に適っていると感じました。
さて、2年目は急性期のスーパー救急病棟で1年間の研修をすることになりそうです。大学院の研究も本格的に始まるようで、来年は忙しくなりそうな予感です。。。