発達障害研究会は、アスペルガー症候群(アスペルガー障害)、自閉症などの自閉症スペクトラム障害(ASD)、および注意欠陥多動性障害(ADHD)などを主な対象疾患として、臨床的な側面から生物学的な指標、治療法まで、幅広い内容の研究を行っています。
近年、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害は、医学的な側面に加えて、広く社会的な面からも注目を集めていますが、これらの疾患の診断方法や臨床所見、あるいは生物学的な指標に関しては、これまでに十分に検討されていないのが現状です。このため、発達障害の諸疾患の効果的な治療法の開発のためには、臨床的な研究と生物学的な研究を並行して進めることが必要となります。
これまでわれわれの研究室で行った主な研究を以下に示します。
- 評価スケールを用いたASDおよびADHDの臨床的研究
- アスペルガー症候群の精神症状に関する研究
- 光トポグラフィー(NIRS)を用いたアスペルガー症候群とADHDの脳血流に関する研究
- アスペルガー症候群における事象関連電位(ERP)の研究
- オキシトシン投与に伴うASDの社会行動変化に関する研究
- アスペルガー症候群と統合失調症における視線計測に関する研究
- 機能的MRIを用いた発達障害患者の画像診断学的検討
このようにわれわれの研究は、臨床的な評価スケールを用いるものから、光トポグラフィー、機能的MRIなど最新の検査機器を用いるものまで、多岐にわたっています。また上記以外にも、小児科などと協力しASDのハイリスク児における生物学的指標を求める研究や、他の施設との協力のもと臨床遺伝学的研究も進行中です。
図1 NIRS計測の模式図
a~c. 頭皮上における電極の装着部位 d.測定に使用する電極部位(左右側頭部と前頭部)